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GSNのあしあと

GSNは、途上国の貧困層にマイクロ保険を寄贈する目的で設立されました。それは小さな保険ですがいつの日か途上国に大きな安心の輪を築きたい。そんな願いの活動記録。

タンザニアで開催のマイクロ保険カンファレンスに参加

2012年11月6〜8日の日程でタンザニアのダールエッサラムで開催された第8回International Microinsurance Conference 2012に参加してきました。このカンファレンスは、ドイツのミュンヘン再保険社(Munich Re)が開催しているマイクロ保険業界最大のカンファレンスで、今年も600人近くの参加者が世界60カ国から集まりました。主催者によれば参加者は年々増えており、このことはマイクロ保険への関心が世界的にも高まって来ていることを示しているといえます。参加者は、民間保険会社や政府関係者、国際機関、NGOやドナー団体、学術関係者、コンサルティング会社など様々です。カンファレンスでは、世界の様々な地域で行われているマイクロ保険の最新事例が報告されました。

カンファレンスの様子。ダールエッサラム市内で最大規模のカンファレンス・ルームを持つBlue Pearl Hotelで開催されました。
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GSNは3日に現地入りし、カンファレンス直前の4−5日に開催された国際協同組合保険連合(International Co-operative and Mutual Insurance Federation, ICMIF)主催のワークショップにも参加。カンファレンス後の9日には、実際にマイクロ保険が販売されている現場を見るためにタンザニア北部へのフィールド・トリップに行ってきました。オランダ政府が出資し、オランダ政府から委託の形でPharmAccessという団体が中心となって運営しているプログラムで、キリマンジャロ山麓のコーヒー豆農家の共同組合KNCU(なんと1929年設立のアフリカ大陸で最古の協同組合)の組合員を対象にマイクロ医療保険を提供しているもので、2011年春から開始しました。このプログラムは、単に医療保険を提供するというだけではなく、医療サービスの提供に関わるハード、ソフトの両面でのインフラ整備(例えば病院の改修、そのためのローンの貸し付け、医療の質向上のための教育指導など)なども含め、様々なステークホルダーを巻き込みながら包括的アプローチをとっているという点が特性です。例え保険があっても、医療の質とそれへのアクセスが保証されなければ、絵に描いた餅になってしまいます。PharmAccessはその問題にも目を配って行われている非常にすぐれたプログラムだと思いました。2012年5月の時点で加入者は5,000人に達しているということでした。

KNCU本部にて。KNCU会長のMaynard Swai氏。
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医療保険に加入しているコーヒー農家の人に、「医療保険に入ってみてどうですか?」と尋ねた所、「とても助かっており、安心して医者にかかることができる」と話していました。例えばタンザニアでは5歳以下の子供の死亡原因の3分の1をマラリアが占めているといわれますが、保険がなければその治療費は70,000タンザニアシリング(3,000円程度)の実費を支払わなければなりません。これは、平均年収が200~300ドル(16,000~24,000円)(都市であるダールエッサラムでは700ドル程度と都市と地方でも大きな開きがある)と言われるタンザニアの人々にとっては大きな負担です。しかし、PharmAccessの保険に加入していれば、単身世帯で12,000タンザニアシリング(700円)、5人世帯で25,000タンザニアシリング(1,400円程度)の年間保険料を支払えば、病気になった時に基本的には治療の自己負担無しで医者に診てもらうことができるようになり、大きな負担軽減になります。

訪問したKNCUのメンバーが家族で加入している医療マイクロ保険の保険証を見せてくれました。
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カンファレンスやフィールドトリップを通じ、世界中のマイクロ保険の第一線の人々や、何よりも実際に保険を必要とする人々の生の声を聞くことができたことは非常に大きな収穫となりました。それにしても、世界約4兆ドル超の保険市場に14%のシェアを占め、世界第二の保険大国である日本からの参加者がGSN以外にないことは少し残念に感じました。マイクロ保険業界は欧州勢が中心ですが(やはり歴史的に植民地を多く抱えて来たことと無関係ではない気がしています)、最近ではアメリカでもマイクロ保険の知名度や関心が高まってきているようです。日本でもまだあまり知られていないマイクロ保険ですが、少しでもより多くの人々に知られ、理解されるようになるよう、GSNとしても増々情報発信に力を入れて行かなければと決意を新たにした次第です。

KNCU本部からの眺め。遠くにキリマンジャロ山が見えます。
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テーマ:活動報告 - ジャンル:福祉・ボランティア

申請に到るまで

自分事で恐縮ですが、私は今年の5月までメキシコシティに住んでおりました。メキシコにはJICA(国際協力機構)から派遣される形で、メキシコにおける自動車リサイクル制度の構築に関わるプロジェクトを、メキシコ政府(連邦環境天然資源省)とともに実施しておりました。そのプロジェクトが無地に今年の5月に完了し帰国したのです。
それから、NY在住で本NPO法人の副理事長となる予定の山下由夏さんと一緒にあ~でもない、こ~でもないといろいろ検討し、まずはNPO法人を設立する方向で作業に入ったわけです。それが始まったのは恐らく7月初旬頃でしたから申請までに4か月余りの歳月を要したことになります。
当初、NPO法人の申請はそれほど大変なことと理解しておらず、始めて見てその大変さに気付きました。理事・監事の就任依頼、最低10名は必要とされる正会員(社員とも言います)の依頼。そして、定款、事業計画書等々、様々な必要書類の作成、正会員の方々に対する説明・同意の取り付けなど、予想をはるかに上回る時間を要しました。

こうした申請手続のプロセスもさることながら、NPOを運営していくプロジェクトの具体的な内容に関する取り決めるはもっと大変です。今はその問題に突き当たっていると言ってもよいでしょう。

そもそも「マイクロ保険」という言葉は日本ではほとんど耳にしません。実際耳にしないものが、実際どのように役立っているか容易には理解できません。またマイクロ保険は発展途上国の貧困層の人達のための保険ですのでこれらの人に直接会ってマイクロ保険はどうですか? 役に立っていますか? などと聞く機会もなかなかないのが現状です。
私が暮らしていたメキシコシティにも貧しい人々はたくさんおりましたが、自分が政府機関に身を置いて仕事をしている限り、そうしたメキシコ人と話をする機会は滅多になく、それらの人が住んでいる地域に出かけていくことさえ、治安などの事情により難しいのが現実です。

このような状況から考えますと、2012年11月(先月)タンザニアにおいて催されたマイクロ保険国際会議ののち訪問したキリマンジャロのコーヒー農園組合が運営している健康マイクロ保険に加入している人々への直接インタビューは大変有意義なものでありました。
コーヒー豆生産農家を訪ね、出てきてくれた年配の世帯主の男性は次のように話を聞かせてくれました。
「以前は病気になっても病院にはなかなかかかることができませんでした。なぜって? やはり医療費が高いですからね。でも今はマイクロ保険に加入しているので我慢せずに病院に行きます。この娘も先日病院に行き治療を受けたお蔭で体調もすっかりよくなりましたよ。」

社会保障制度の整っていない国の貧困層のひとたちにとって、収入の安定や健康の確保は重大な問題です。彼らにとってマイクロ保険は確かに役に立つもの、必要なものであると彼の言葉を通して再確認することができました。このようなマイクロ保険を広く行き渡らしていくための活動をこれから本腰を入れて始めていきたいと改めて誓った次第です。

それでは、次回以降、タンザニアにおけるマイクロ保険国際会議の様子などを報告してまいります。

GSNのNPO申請書 東京都に提出

2012年11月22日(木)午前11時30分 GSNのNPO申請書が東京都に収受されました。承認審査の結果はおよそ4か月後に届くそうです。
GSNとはグローバルセーフティネットの略称で、社会保障の乏しい途上国の貧困層におけるマイクロ保険の普及を目的として企業や個人の皆さまから募った寄付を元に、マイクロ保険を必要としながらも自力では加入することができない途上国の人々に保険を贈る活動を行う組織です。
このNPO申請の準備に取り掛かったのは7月初めころでしたから申請までに実に4か月を要しました。当初想定した以上の時間と労力がかかりましたが、正会員登録して下さった友人や理事として参画することを快諾してくださった皆さまのお蔭でこの申請にこぎつけることができ感無量です。
ここにGSNは小さいけれど着実な一歩を踏み出したように感じています。申請の結果はまだ4か月先ではありますが、ホームページも概ね完成し活動を開始してまいります。
ゼロからの国際支援型NPOの立ち上げの足跡をこれからお伝えさせていただきます。どうぞ温かくお見守り頂きたく、よろしくお願いいたします。